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2022年4月より、リーダー職の賃上げが決定しました。
今回の賃上げに至った経緯を、ひろた事業部長にお伺いしました。
4月に賃上げがあるのか・・・。
2月から介護職の賃上げがあるけど、4月の賃上げはどんな内容だろう・・・。
ひろた事業部長に聞いてみよう!
4月にも賃上げがあると聞きました。
詳細を教えていただけますか?
はい、わかりました。
4月の賃上げは、介護職兼サービス提供責任者(以下、兼務サ責)、ナースリーダー、施設長、エリアマネージャーのリーダー職を対象としています。
月額で言うと、兼務サ責15,000円、ナースリーダー10,000円、施設長・エリアマネージャーが20,000円の賃上げになります。
そうですね。それについては順番に説明させてください。
うつのみやさんは自分のキャリアや、仕事について考えたことはありますか?
3年後にはこれができるようになりたいとか、5年後にはこうなりたいとか。
あ・・・、あります。
(大きい声で言えないですが。。。)
自己申告書にも書いて、しまづさんとも面談でハナシテイマス・・・。
仕事で大事にしていることもありますよね。
チャレンジできる環境や、やりがい、成長実感、協力し合えるチーム。
今回のリーダー職の賃上げは、社員のビジョン実現を支援することや、人材育成を目的としています。
当社には多くの介護スタッフが働いています。
介護スタッフの次のステップがサ責になるので、今回はサ責を中心に話をさせていただきますね。
ここ数年をかけて、サ責の人数は増えました。
これは、「サ責をやってみたい」とステップアップを希望する社員に、意図的にチャレンジできる機会をどんどん設けているんですよ。
サ責には資格要件や、配置基準が設けられています。
配置基準を満たせば法律違反にはならないのですが、配置基準を満たす最低人員で運営していると、他の介護スタッフが次のステップをイメージしにくくなったり、今より高い専門性を追求する機会が減っていきます。
うーん。
例えば・・・「その職種の枠は一人」と思うことで、自分はキャリアアップしたいと思うけど、最初からなれない「枠がない」と考える。
もしくは、初めからキャリアアップ(上位職を目指すこと)のイメージすら持てないということですか。
そうです。
だから当社では、ただ法律(人員配置基準)を守るのではなく、サ責をやってみたい社員を登用し、数年かけて余裕を持ったサ責の配置を実現してきました。
余裕を持った配置をすることで、何が実現したか想像できますか?
うううううーん。
サ責業務ができる社員が増えると言うことは、業務の属人化を解消し、併せて社員一人ひとりができることが増え成長できるのではと感じます。
うつのみやさんが言うように、以前はサ責ができていなかった、シフトを組んだり、サービスシフトを見ながら業務効率を考えたりとか、お客さまが必要としているサービス内容と、会社の効率の面両方を把握できる立場になっていきました。
介護スタッフの中でも、サ責が担う専門性をある程度確立し、経営を担う割合も大きくなっているんです。
余裕を持ったサ責の配置をすることで、以前に比べてサ責が担う業務範囲が広くなり、介護の専門性を活かしサービスの質も上がってきている・・・という認識であっていますか。
その通りです。
今回の賃上げでは、さらにもう一段高いところにステップアップしようとする目的で決めました。
ところで、うつのみやさんはサ責の責務は介護保険法で定められているってご存じでしたか?
介護保険法では、サ責には以下のような責務が求められているんです。
・利用の申込みに係る調整をすること
・状態の変化やサービスに関する意向を定期的に把握すること
・具体的な援助目標及び援助内容を指示すること
・利用者の状況についての情報を伝達すること
・訪問介護員等の能力や希望を踏まえた業務管理を実施すること
他にも細かく定められているんですよ。
例えば「利用の申込みに係る調整」。
具体的に言うと入浴は何回、居室の掃除の有無や、デイサービス利用回数の希望などの調整なんですが、これを数年前までは施設長が担っていたんです。
今はほとんどの拠点でサ責、管理者ができるようになりました。
「利用者の状況についての情報を伝達」もサ責が担っています。
これからさらに強化したいことは、「状態の変化やサービスに関する意向を定期的に把握すること」や「訪問介護員等の能力や希望を踏まえた業務管理」の部分です。
皆もしかしたら、「すでにやってるやん!」と思うかもしれません。
簡単に言うと「アセスメント」なんです。
お客さまにとって必要なサービスって、一人ひとり違いますよね。
介護現場でのアセスメント力というのは、主に介護サービスを提供する前段階での情報収集のことを指すんですけど、さらに言うとその時々に応じてのどのようなサービスが必要なのかを明らかにし提案していくことです。
「今提供しているサービスに満足されているから、継続します」ではなく、日々の生活の中で、わずかな差をとらえてサービスを提案していくことです。
お客さまの日々の変化に気づくことは、本当にプロフェッショナルだと感じます。
ご入居者の表情、声のトーンや言動でお体やお気持ちの変化に気づけるのは、ご入居者の一番近くにいる介護スタッフですからね。
あと、「訪問介護員等の能力や希望を踏まえた業務管理」というのは、お客さまだけでなく、スタッフに対しても同じ考え方が必要ということが法律でうたわれているんです。
会社なので訪問介護員の業務内容は決めているんですけど、それでもやっぱり個々の差は少なからずあって当然なんです。
個々を見ていくって本当に大変なんですけど、これまで培ってきた能力をより発揮するため、一人ずつに沿ったプランの提案や研修教育方法を担うということです。
うー。
賃金が上がるって素直に嬉しいですけど、当然ですがその分求められる役割が大きくなるということですね。
賃金は評価だと思うので、賃上げはやりがいにつながると感じます。
今よりも高いことが求められるということはプレッシャーに感じる部分もあるかもしれませんが、それを達成するということは、個々が成長しチーム力も上がる。
そして、お客さまにも更に良いサービス提供ができるということですね。
当社には本当に優しいスタッフが多いです。
しかし、お客さまが言われたことをそのまま叶えてあげるという優しさを先に出すのではなく、ご入居者の将来を考えて健康維持、身体機能を維持する。
介護って、今だけではなく将来のことを考えて提案する仕事なんです。
そのためにアセスメントが大事になってくる。
相手とともに考えて、解決していくという姿勢。
ご本人や家族の自助能力も促進されるきっかけとなり、定量化できないお客さまの心へ寄り添うことです。
私も、当社に入社するまでは、「介護=生活のお手伝いをすること(何でもやってあげる)」だと思っていました。
スタッフの皆さんを見て、ご入居者がお元気にご自身で生活をできるよう自立支援をする。
ご入居者の今だけではなく、将来のことを考える仕事であることは入社して知りました。
今の介護を作業としてやってしまうと、自分がやっている仕事の専門性も見失ってしまいます。
そうなってほしくないから、目標になるものをより明確にしたいと思っています。
ご入居者の生活をいろんな側面から考えていくのが専門性で、そこはまだまだ伸びしろが沢山あると思っています。
今回、施設長やエリアマネージャーの賃上げもありますよね。
施設長やエリアマネージャーに求めることはどんなことですか?
施設長はすべての専門職、全スタッフの一つのゴールにしたいと思っています。
「施設長=介護スタッフ」というイメージがやっと取れてきて、以前はスタッフが足りなくなったら施設長が夜勤に入るとか、クレーム対応もお客様対応も施設長、勤務表作成も施設長・・・あれもこれも施設長。
施設長が雑用係になっていました。
施設長の仕事は「自分の作りたい職場、お客さまがお客さまらしく生活する場、スタッフがスタッフらしく能力を発揮できる環境つくりをする」こと。
それらを実現できる権限を唯一与えられている人なんです。
「自分だったらこんな施設を作りたい」という想いを常に持ち、実現できる力を身につけてもらいたい。
これからもっと良い施設を作るために、営業や広報、行政との折衝、地域活動の参加、医療連携を、収益を上げるには・・・いろんな課題に向き合い苦悩しながらもチャレンジできる喜び、やりがいを感じることができていると思います。
今後はその成果も強く求めていくということです。
次にエリアマネージャーに求めることを話して良いですか。
エリアマネージャーは次の会社を作る人だと思っています。
福祉ってどの業界よりも「人」で事業が成り立っていかなければいけません。
その「人」を扱う最終責任者がエリアマネージャーである以上、収支(会社のお財布)が良くなるのも悪くなるのもエリアマネージャーの力次第。
エリアマネージャーの判断が会社の命運を左右するような権限を与えているし、これからもっとそれを拡大していくための地位にあります。
いかなる理由があっても現場の課題を解決するのはマネジメント。
それを予測してリスクを前もって起きないようにしていく(防ぐ)ことができないと、会社は大きくなっていきません。
これまでのエリアマネージャーは「介護を教えられる人」というイメージがありましたが、自分たちの判断次第で800人の社員が路頭に迷う責任感を持って欲しいと思っています。
スタッフを幸せにすることをエリアマネージャーに求めますね。
今回に限らず当社では、社員の賃上げについて積極的に取り組んでいると感じています。
国総出で介護職の給与を上げていこうとしています。
会社だけの問題ではなくなっていると思います。
介護職の給与は一部他業種よりは高くなってきています。
介護業界に関わらず給料が高い人は、人ができないことをやっているから高いんです。
誰にでもできることではないからこそ高い。
国は介護職の給料を上げたいというよりも、専門的な職業として確立させたいんですね。
介護って、誰にでもできることじゃないんです。
介護保険制度が確立して国家資格となって、家族にできない介護として世の中に浸透し、次は、介護職が一つの職業として目指される、給料とやりがいと業務内容を両立させることに踏み込んでいるのだと思います。
私は、お客さまの人生に関わり生活を支えるスタッフの皆さんが、本当に格好いいと思うんです。
家族や友達が介護の仕事をしているとしたら、私は胸を張って言いたいくらい。
その介護の仕事が社会から目指され評価されると嬉しいです。
社員全員が今より一歩ステップアップすることで、介護の職場は日本一になれます。
そのために今回の賃上げが終わりではないですし、今後もやりがいと給与がリンクするよう考えていきます。
しまづ人事広報部長のインタビューも併せてチェック! → 「介護職員処遇改善支援補助金」について