お風呂でリラックス
- 松山
ホームでは嬉しい出会いもありますが、悲しくて仕方のない別れも訪れます。
先日お見送りをさせていただいたNさまは、ご入居されて1年足らずではありましたが、振り返ると次々に思い出があふれてきます。
コロナの禍に他施設より転居されてきたNさま。
ご入居当初ナースコールを握りしめ苦しそうな声をあげられていたのは、なかなかご家族ともお会いになれず、他の方との交流も少ない中で不安でいっぱいだったせいでしょう。
毎朝「おはようございます」のお声かけから始まり、身だしなみを整えるお手伝いやお掃除をさせていただく介護スタッフ。
水分摂取量や体重の増減の把握など体調管理を行う看護スタッフと、ベッドで過ごされることの多いNさまの身体の痛み軽減に向けてケアをするリハビリスタッフ。
社交の場へとお誘いするデイサービスのスタッフ。
スタッフが関わりを持つうちにいつしかコールの回数も減り、信頼して任せてくださるようになりました。
「ばあちゃんは人が好き。楽しく過ごしてほしい。」というご家族の想いを聞き、もっと部屋から出て過ごす時間を作ろうと始めた外気浴。
ちょっぴり冷たい風に上着とひざ掛けというモコモコスタイルで出られたり、道すがら花を眺めたりしたお散歩では季節を感じていただけたでしょうか。
手先が器用だったというNさまのこれまでの作品を、当ホームの文化祭に出展。
夏祭りや運動会などのイベントで見せたあの笑顔ときらきら輝く瞳は、若かりし頃のはつらつとした姿を連想させてくれました。
そして、Nさまの生活で語らずにおけないのはご家族との絆の強さです。
自由なご面会が叶わない中でも、Nさまの身体への負担やスタッフの手がかからないようにと、お食事で居室からレストランへと移動するタイミングを見計らい何度もお越しくださった娘さまやお孫さま。
県外にお住まいのご家族は、「絶対に迷惑をかけないように」とホームの基準を上回る待機期間と自主的な検査の後に会いに来てくださいました。
面会の最後には必ず写真を撮られ、「また来るけんね」「しっかりご飯食べて、元気でおってくださいね」と何度も声をかけられる姿が印象的でした。
だんだんと食が細くなってきていたNさまも、ご面会後の食事では全部召し上がったという話を聞くにつけ、ご家族の存在は何よりのお薬だと心から実感したのでした。
今でもお別れを受け入れ切れず、
「もっと何かできたかもしれない」
「これも一緒にしたかった」
「Nさまらしく活きる、を叶えられただろうか」と考えることもあります。
ですが、この思いを大切にNさまからの教えとして、これからにつなげていきたいと思っています。
Nさまとひとときを共に過ごし、人生にかかわらせていただきありがとうございました。
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